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奈良県宗教人の会

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「宗門特別推薦」と政教一体の「教団ぐるみ」支援活動を憂い、中止を求める

「宗門特別推薦」と政教一体の「教団ぐるみ」支援活動を憂い、中止を求める

2007(平成19)年7月   
浄土真宗本願寺派僧侶門信徒有志



 今月に実施される参議院選挙に際し、本願寺総局は、これまでにない「宗門特別推薦」という制度をもうけ、比例(全国)区で民主党、大阪選挙区では自民党の候補者の政治活動を宗門あげて支援することを決定し、選挙活動にとりくんでいます。
 私たちは、今回の「教団ぐるみ」の選挙活動に対し、宗教的にも政治的にも極めて非常識な行為であるとの深い憂慮を覚えると共に、本願寺の発展を願う宗門人として、驚きと悲しみの念を禁じえません。総局に対し、下記の理由から、支援活動の中止を求めるとともに、私たちと全門徒の憂慮にたいする総局見解の提示を求めます。

 まず、第一に、「宗門は政治的信条では右から左まで、いろんな主義主張を持つ人々を包呑しており、とくに一方に偏することはできない。」(第174臨時宗会の中間答申)としているように、特定の個人、政党を宗門あげて支援することは、宗門内の僧侶、門信徒の思想信条・政党支持の自由を侵害するものです。

 第2に、確かに、「宗門に対する現実の社会事象を眺めるとき、到底政治と無縁ではあり得ず、宗門は従来も、これからも必然的に政治にかかわり、また積極的にかかわるべき」(第174臨時宗会の中間答申)でありましょう。
 これはわが宗門のみならず、現実社会のうちに存在し社会的活動を行うもの全てにとって当然のことでありますが、このことは、特定の個人や政党を選挙で宗門あげて支援活動を行うこととは全く次元を異にすることです。
 本願寺教団は、阿弥陀如来を本尊として仰ぎ、お念仏によってつながれた同朋教団です。政治への「積極的な関わり」は、時々の政治的諸問題に対する宗門としての主張を、世論あるいは、時の政府機関や各政党に対し、堂々と提言し要請していくことによって行うべきです。
 宗門として直接、宗門代表としての議員を擁して政治に手を染めることは、宗教団体の政治団体化であり、政教分離の原則に反することであり、政教一体との批判は免れません。
 特に、今回の支援活動において、本山・各教区教務所・組という宗派としての既存の行政機構、施設、財産などがそのまま選挙活動に活用されていますが、これは、ご門徒様から預かった大切な宗門の組織を特定の政治的活動のために利用するということであり、公益法人の政治的私物化です。このことは、総局が今回の支援活動の動機として掲げている「原則非課税の公益法人から宗教法人が排除され、宗教法人が課税の対象とされる」という危険性に、逆に口実を与えることにもなります。

 第3に、総局は、今回の特別推薦について、「正確・迅速な情報を入手し、適切な議論・提言を行っていくためには、宗門を代表する人材を国会に送り出す必要」があるとしていますが、特定の宗教団体が自らの利益を計る事、すなわち便宜供与を目的に議員を擁して直接政治に関与することは、全国民に責任を負うべき国会議員の国民に対する普遍的公正的立場からしても、許されない行為です。
 創価学会と公明党との関係が批判されているように、特定の宗教団体による政治の私物化という過ちを犯してはなりません。

 第4に、総局は、政治に関わる政治情勢として、「憲法や教育基本法の改正、宗教法人をはじめとする公益法人の制度改革、自衛隊のイラク派遣に端を発する自衛隊法の改正など、宗門として見逃すことの出来ない諸問題が山積み」しているとしています。選挙で候補者を推薦する場合、候補者と政策協定を結ぶことが前提ですが、果たして、これらの問題で宗門は、推薦する候補者、政党と政策について協議し、一致をされているのでしょうか。
 そもそも全国(比例)区で民主党、大阪選挙区で自民党という互いに対立している政党を同時に推薦するということ自体、政治的常識からいってもあり得ないことであり、宗門内はもとより、広く国民から宗門の節操を疑われる結果を招くと言わざるを得ません。
 現代の日本の議会政治は、政党政治であり、個人の信条や宗門の意向より所属政党の意向を優先させることが、政党政治の常識であります。宗門の意向を国会に反映させると言いますが、宗門の意向に反することがあっても、所属政党の意向に反することはあり得ません。

 政党におもねり、政治権力と結びつくことによって、宗門の発展がはかれるわけはありません。逆にその道は、本願寺教団の「創価学会化」であり、「外義」も「内心」も「外道に満ちみちて」しまうことになります。
 5月にオーストリアで開かれたOBサミットに、ご門主は日本の仏教会の代表として参加されました。中東で続く紛争やテロの問題での討議の席でご門主は、「世界の宗教指導者の十人の中の一人として英語で発言され、釈尊の言葉を引用して、仏教の『非暴力』を強調され」(本願寺新報)ました。この発言は、会議の最終声明に盛り込まれました。ご門主のこのような行動こそ、現実の政治に対する宗教者としてふさわしい行動なのではないでしょうか。
 「そらごとたわごとまことあることなき」俗世に埋没するのではなく、「念仏のみぞまこと」の立場から、現実の世俗世界、政治世界を相対化し、宗教者としての広く高い立場から、堂々と提言し世論をリードしていくことこそ、聖人750回大遠忌を迎える本願寺教団としての政治参加のありかたであると考えます。
 今回の宗門あげての政教一体の「教団ぐるみ」選挙は、宗教教団として、自滅行為です。私たちは、宗門の発展を願う立場から、今回の選挙支援活動の中止と、宗門内僧侶・門信徒の憂慮にたいする総局見解を求めるものです。
by n-syukyojin | 2007-07-08 11:50
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